アドレスホッパーとは?家を持たない新しい暮らしが人生にもたらすものとは
「あなたは家を買いたいですか?」という質問にイエスと答える人は、今やそんなに多くはないのではないでしょうか。
働き方やライフスタイルへの価値観が変化していくなか、従来のライフスタイルを変えて自分が一番気持ち良いと思える暮らしを目指し、その形を実践する人が増えています。
「アドレスホッパー」と呼ばれる、家を持たない暮らしをする人たちもそのひとつ。
今回は”アドレスホッパーとは?””その生活や仕事は?”など、気になるアドレスホッパーについて特集します。
アドレスホッパーとは
アドレスホッパーとは、賃貸物件や持家など特定の住居を持たずに、土地を移動しながら生活をする人・生き方のことを言います。
アドレスホッパーは、2018年頃に市橋正太郎氏をはじめ4人のメンバーが、アドレスホッパーとしてコミュニティをつくる中で出来上がった言葉です。
まだできて間もない言葉ですが、テレビやWEBサイトなど多数メディアで取り上げられてきたことから、「聞いたことがある」という方もいらっしゃることでしょう。
アドレスホッパーの由来は、「アイランドホッピング」と呼ばれる島を転々と移動することを意味する言葉からきています。
「家に住まない」というよりも、もっとポジティブに「自由に住むところを移動する」というイメージを重要視して、アドレスホッパーと名付けたようです。
ノマドワーカー、デュアラーとアドレスホッパーは何が違うの?
ノマドワーカーやデュアラーも割と最近出てきた言葉ですが、アドレスホッパーとは違いがあります。
ノマドワーカーとはカフェなどオフィス以外のさまざまな場所で仕事をする人、また働き方のことを言い、住まいについての有る無しを決めるものではありません。
アドレスホッパーの中には、一定の場所で仕事を行っている人もいるので、アドレスホッパー=ノマドワーカーではありません。
ただ、自由なライフスタイルを選ぶ中でどちらの言葉も兼ねている人たちもおり、かなり親和性の高い言葉同士ではあります。
一方、デュアラーは、生活拠点を2つ持っている人のことを言います。
一般的には、都心部と地方とに2つ拠点を持ち、仕事は都心で行い、生活の軸は地方に持つ人が多いようです。
つまり、都心と地方のいいとこどりのようなライフスタイルを目指すものと言えるでしょう。
住居をまったく持たないアドレスホッパーとは双極をなすように見えますが、「移動することで生活に新しい発見をする」という主軸のところはかなり近い発想のように思えますね。
⇒ノマドワーカーについてもっとよく知りたい人はコチラの記事へ
アドレスホッパーはどんな仕事で生活しているのか?
アドレスホッパーは、「移動しながら生活する」という点で、毎日同じ場所に通勤しなければいけない仕事とは相性があまりよくありません。
そのため、アドレスホッパーは、遠隔でも仕事ができるWEB関連の仕事についている人が多く、マーケッター、デザイナー、WEBディレクター、エンジニア、ライターなどが多い傾向にあります。
また、意外なように思える職業である、一定期間1つの企業に昼食を提供する料理人や、地方を渡り歩く医師もいらっしゃるようです。
相性があまりよくないとは言いましたが、ひとつの会社に通いながら近場でアドレスホッパーをする人もいます。
アドレスホッパーの住む場所は?
アドレスホッパーは、ホテル、ゲストハウス、サウナ、銭湯、マンスリーマンションなどを移動しながら生活をします。
人との交流を楽しみたい人はゲストハウスをメインで、人付き合いが苦手な人はホテルメインでなど、心地よいと思える形態の宿泊施設をメインとし、複合的にいろんな種類の宿泊施設を使用します。
アドレスホッパーは宿泊にどれくらいの金額がかかる?
このような宿泊施設にかかる予算も、どこを住む場所に選ぶかのキーポイント。
アドレスホッパーたち月にかかる宿泊費は10万円前後~20万円程度までが多いケースです。
ゲストハウス中心の生活をしている人は、10万円程度、ホテル暮らしが多い人は15万円程度で暮らしているようです。
「節約のためにアドレスホッパーになる」という話も聞きますが、宿泊費は家賃と比べると高めの傾向にあるようですね。
⇒ホテル暮らしした場合の費用をもっとよく知りたい方はコチラの記事へ
アドレスホッパーも人それぞれ!アドレスホッパーの生活とは
一言にアドレスホッパーといっても、その生活には人によって違いがあります。
①毎日移動するアクティブ大好きパターン
こちらは、かなりアクティブなタイプのアドレスホッパーの生活スタイルです。
毎日、当日にその日泊まる宿を決めて、宿泊施設の予約をします。
「飲み会があるから飲み会が終わる場所に合わせて、終わった時のテンションで宿泊場所を決める」といった風。
あまり予定決めておかずに、毎日決めることによって、毎日新しい発見があるんだそう。
案外そうやって、予定を立てずに当日予約しても宿を取りはぐれることはないようです。
住む場所の条件に厳しくなく、アクティブに毎日移動することが楽しい方におすすめなアドレスホッパーの生活スタイルでしょう。
②人に疲れがちな人へ。おいしいとこどりパターン
アドレスホッパーは人との出会いが多い分、人見知りする人などにとってはかなりストレス度の高い生活スタイルです。
そんな、「アドレスホッパーだけど人見知り!」という人が利用しているのが、マンスリーマンション。
マンスリーマンションは、大よそ1週間以上から、家具・家電付きのアパート・マンション物件を借りることができるサービスです。
マンスリーマンションで1ヶ月程度過ごして、人と出会いたくなったらゲストハウスへ移動して、また疲れたらマンスリーマンションへ。
そんな風に、人との接点をうまく取り入れながら生活しているアドレスホッパーもいます。
「人に会わないといけないし自分はアドレスホッパーに向いていない!」と思われる人も、実はアドレスホッパーは、住む場所の組み合わせ方に、よって幅広い選択肢の中から生活スタイルを選べます。
自分とは縁遠いと感じる方も、もしかしたら、案外自分に合った「アドレスホッパーの形」があるかもですよ。
アドレスホッパーになると不便になる点・気をつけるべき点
アドレスホッパーとして住所を持たないことで、行動範囲が広がり自由度が増す分、不便になる部分も発生します。
ここでは、アドレスホッパーになることで不便になる点や気を付けておく点をお伝えします。
アドレスホッパーになって納税は大丈夫?
アドレスホッパーであっても、きちんと住民税を支払う必要があります。
多くのアドレスホッパーは実家などに住民票を移して、その土地の住民税率に基づいて納税しているようです。
また、シェアオフィスを持っている人は、シェアオフィスを住民票登録することができるので、そちらで支払っている方もいらっしゃいます。
アドレスホッパーになると持ち物は捨てないといけない?
アドレスホッパーはスーツケース1つ、多くても2つ程度までと少ない荷物で移動します。
そのため、持ち物をあまりたくさん持つことができなくなり、1人暮らしをしていた人などは処分・整理する必要があります。
ただ、最近はこういった生活スタイルを望む人の需要にこたえる、便利な貸し倉庫サービスも登場してきいます。
従来からあるスペースベースの貸し出しだけでなく、ダンボール1箱からレンタル可能な貸し倉庫サービスが出てきています。
そういったサービスも利用しつつ、やはりミニマリストのような生活は必要となるでしょう。
郵便物はの受け取りは?
住居がないと不安なのが、郵便物の受け取りです。
ある一定の場所にいる人は、その宿泊施設に荷物を送ってもらうようにします。
スピーディに荷物が受け取れて便利なAMAZONなどのサービスでは、最寄のコンビニを指定して荷物を受け取ることができます。
また、郵便物については、私書箱で受けとるようにしておくと便利でしょう。
クレジットカードやローンはどうなる?
アドレスホッパーの場合、新規でのクレジットカード作成や、ローンを組むのが難しくなる可能性があります。
クレジットカード・ローンのどちらも、サービスを受けるまでに審査が必要であり、賃貸か持家かなど住居契約形態も審査の要素に入ってくるためです。
ただ、絶対に組めないというわけではなく、他の審査項目との兼ね合いや聞き取り調査などにより可否が決定されます。
治安には注意することが必要
アドレスホッパーで宿泊する施設や滞在場所では、いろんな方との出会いが増える分、危険な人物と遭遇する機会も増えます。
特に、ゲストハウスでの宿泊は、1つの部屋に何人もの人で寝ることになるので、女性の場合は注意が必要です。
女性専用ドミトリーを利用するなど、意識的に注意しましょう。
また、アドレスホッパーは海外をアドレスホッピングする場合も多いですが、日本人は富裕層とみなされやすいため、盗難や強盗など事件に巻き込まれないよう行動しましょう。
アドレスホッパーになる本当の意義とは?
「アドレスホッパーになるということ」=「住居を持たない」というイメージから、居住地にかかる費用の削減など居住を持たないメリットに目が行きがちです。
ただ、アドレスホッパーになる本当の意義は、住居を持たないメリットを享受することを目指すものではありません。
移動することで見つかる発見や出会い、またその中で培われる対応力を仕事や生き方に活かされていくことが、アドレスホッパーとなることの本当の意義です。
現在、アドレスホッパーのコミュニティは規模が大きくなっており、アドレスホッパーの会社も設立されています。
アドレスホッピングする中で、地方が必要としている仕事を依頼されるケースも出てきており、アドレスホッパー自体が仕事を生む可能性も出てきました。
これからアドレスホッパーは、家を持たないという意味あいだけでなく、「アドレスホッパーであることが仕事につながり、経験を通して人生が変わる」という自身の人生を変えていく、より大きな意義のあるものに変わっていくかもしれません。
質的なものに価値を求める若者の間で、大きな広がりをみせてくれるかもしれませんね。
まとめ
アドレスホッパーとは、今までになかった居住を移動することで発見できる新たな視点を人生に取り入れて、自分を変化させていくもの。
向き、不向きにとらわれず、とりあえず住居がある状態でやってみるのもよいかもしれません。
「アドレスホッパーにあこがれるものの、ゲストハウスやホテルでの暮らしはちょっと・・・」という方には、いつもと同じ生活が期待できるマンスリーマンションがおすすめです。
とりあえず短期から、アドレスホッパーの暮らしに挑戦してみませんか?
⇒マンスリーマンションに興味のある方は、東京・大阪・神戸・京都の物件に強いOne Lifeまで、ぜひ一度ご相談ください!