シェアリングエコノミーをわかりやすく解説!どの分野が伸びる?サービス事例も紹介
Airbnb、Uberタクシーやメルカリといったシェアリングエコノミーサービスを利用する方が増えています。
このシェアリングエコノミーサービスは、新しいビジネスモデルというわけではありません。例えばマンスリーマンションもシェアリングエコノミーサービスのひとつです。
シェアリングエコノミーサービスと呼ばれるものは、インターネットの普及とIT技術によって発展しました。
ここでは、シェアリングエコノミーサービスについてわかりやすく解説し、どのシェアリングエコノミーサービスに勢いがあるかなどを紹介します。
シェアリングエコノミーについて知りたい方、実際にサービス事業を始めたい方におすすめの内容です。
シェアリングエコノミーとは?
市場規模の定義 (引用:一般社団法人 シェアリングエコノミーサービス)
シェアリングエコノミーとは、モノ、サービス、スキルなどを企業や個人が必要な消費者に提供もしくは共有することです。たとえば、空間をシェアするAirbnbや移動手段をシェアするUberタクシーが例としてあげられます。
これまで単純な消費活動といえば、BtoBやBtoCが中心でした。ここにインターネットの普及やIT技術の進歩により、消費者同士が繋がるCtoCのサービスが登場しました。
Airbnb
引用:Airbnbのサービスイメージ 総務省 ICTが拓く未来社会
Airbnbは、2020年からの新型コロナの影響によって売上は落ちましたが、2021年第1・四半期決算では、総予約額が52%急増し、102憶9,000万ドルと発表されました。
2008年、アメリカ西海岸のシリコンバレーで空き部屋の所有者と宿泊したい人をマッチングさせる民泊紹介サービス「Airbnb」がスタートしました。
実はAirbnbが生まれるきっかけとなったのは、ルームメイトのマッチングサービスでした。しかし、これは事業としては上手くいきませんでした。多くの試行錯誤の結果、誕生したのがAirbnbです。
Airbnbの特徴は、以下の基本モデルです。
- 空き部屋をシェアすること
- 料金の直接支払い方式
- 予約システムの簡素化(3クリックで予約可能)
彼らがこのようなアイディアにたどり着いたのは自らが経験した他人との共同生活の素晴らしさという体験があったからです。
その後、Airbnbは世界に進出し、欧米、オセアニア、東南アジアでもサービスが開始。2014年5月に日本法人Airbnb Japan株式会社が設立されました。
2015年には、5,207億円の経済効果を生み、ホスティングの年間収入額は122万2,400円でした。
ニューノーマル時代であっても、一度、Airbnbを体験したユーザーは同サービスを利用することになるでしょう。観光需要が世界的に戻りつつあるため、利用者が増加していくと期待されています。
Uberタクシー
引用:Uberのサービスイメージ 総務省 ICTが拓く未来社会
Uber Technologies, Inc.(ウーバー・テクノロジーズ)は、世界を代表するシェアリングエコノミーを提供する最大手企業の一つです。Uber全体で、アクティブユーザーは9,300万人に上ると推定されています。
Uber (ウーバー)は、ライドシェア(自動車、電動自転車、電動スクーターのレンタル)、フードデリバリー、宅配、クーリエ便(国際宅配)などのサービスを提供している企業です。
2009年3月にアメリカで誕生した配車サービスがUber タクシーでした。
創業者 トラビス・カラニックは、事業を起こす重要なキーワードとして、
- 今まで誰も思いつかなかったモノを考えつく
- ゼロの状態から新しいモノを生み出す
- 他社(他人)と異なるモノを作りだす
そして、同じベクトルを持ったメンバーと仕事をしていくことが大切と述べています。
Uber タクシーは、時・場所・人を選ばずにモバイル端末だけでタクシーを呼ぶことができ、既存のタクシーよりも低料金で利用できるシステムです。
その後も新しいサービスを生み出しており、コロナ禍以降、日本でも急成長したUber イーツもそのひとつです。
シェアリングエコノミーサービスは、社会情勢や消費者ニーズに合わせて柔軟に対応しやすいという性質があります。
事業内容を変更したとしても、CtoCであればスタッフの雇用・教育は必要がないことは、シェアリングエコノミーの強みです。
シェアリングエコノミーのメリットとデメリット
ここでは事業者側視点のシェアリングエコノミーのメリットとデメリットを解説します。
メリット
- 開業費用が低資金で始められる
- 遊休資産を活用できる
- ビジネスとして成り立ちやすい
- 環境保全効果がある
低資金で始められる
シェアリングエコノミーは、空き家や自動車など個人が所有しているモノのうち利用されていない資源を共有するため、事業者は固定資産を所有することがありません。
また活用されていなかった資産を利用することで、低価格で消費者に提供ができるため事業者、貸主の負担が少ないのが特徴です。
遊休資産やスキル、あらゆるモノ・コトを共有できる
シェアリングエコノミーのライドシェア、民泊サービス、メルカリといったモノをシェアするサービス。クラウドファンディングのようなお金をシェアするサービス。
クラウドソーシングのような個人のスキルをシェアするサービスが、シェアリングエコノミーの領域です。
事業者はプラットフォームを用意すれば、上記のようなサービスの提供を国内外問わず展開できるようになります。
環境保全効果がある
シェアリング・エコノミーは遊休資源・資産の効率的な利用によって、化石燃料のような天然資源や廃棄物発生量の削減、CO2排出量の削減といった環境面の効果も期待されます。
また1990年代~2000年代生まれのZ世代は、7割が環境問題に関心が高い世代です。シェアリングエコノミーサービスの普及は、技術進歩と社会問題・環境問題に関心の高い世代であったことと、若年層の低賃金化といった背景があります。
とはいえ、シェアリングエコノミーは消費者にとって新たな経済活動の手段や環境を与え、消費生活を豊かにします。
デメリット
- トラブル発生のリスクがある
- 保険や補償制度が追いついていない
- 法律の整備が追いついていない
トラブル発生のリスクがある
不特定多数の個人間取引では、サービスを利用する際の保険・補償やトラブルになった際の解決手段があるのかといった不安要素が存在します。
トラブル防止のために相互に評価制度を設けることで未然に防ぐことが、多くのプラットフォームで採用されています。
保険や補償制度が追いついていない
シェアリングエコノミーサービスは適用領域が多岐にわたることもあり、トラブル時の事業者向けの保険・補償が、既存の保険では適用されないことが多く、整備が追い付いていないのが現状です。
しかし、大手の保険会社もシェアリングサービスの市場規模拡大に関心を持っており、一部の事業者向けの保険制度も既に存在します。
新事業を始める場合には、保険・補償が適用できるかを調査するとよいでしょう。
法律の整備が追いついていない
急速に広がるサービスのために、行政の対応も追いついていないのが現状です。
たとえば、日本のUberタクシーは個人の自家用車をタクシーとして登録することができません。個人で配車サービスを提供するには、一般乗用旅客自動車運送事業の認可(緑ナンバー)が必要です。そのため、日本では個人の自家用車(白ナンバー)で配車サービスを行うと違法になります。
このような法規制は、本来は消費者の安全や利益を守るために整備された法律ですが、Uberなどのプラットフォームでは個人を評価することが可能になりました。相互評価によって消費者の信用に繋がり、集客にも繋がる仕組みです。
これまで定量的な評価が行えなかったサービスを見える化したことも、シェアリングエコノミーサービスの特徴です。
勢いのあるシェアリングエコノミーサービス
引用:新型コロナウィルスによる影響(プラス面とマイナス面)一般社団法人シェアリングエコノミーサービス協会
勢いのあるシェアリングエコノミーサービスとは、遊休資産がこれからも潤沢に確保でき、良質な顧客体験を維持することが可能なサービスが有望です。
Uberのモビリティ部門は、新型コロナの影響で2020年の第二四半期は純利益が前年同期比で66%に減少したものの、Uber イーツのフードデリバリーサービスを強化させる方向に舵を取ったこともあり、前年同期比で162%増加しました。
モビリティ部門の低迷は、新型コロナの影響で不特定多数が利用するモノに関して、感染リスクがあるため利用者が減少したことに由来します。
一方で、リモートワークにより自宅で過ごす人が多くなり、フードデリバリーのニーズが増加した結果、Uber イーツは急成長しました。
とはいえ、フードデリバリーのような配達事業は、国内でも配達要員の確保が難しくなっています。配達要員が必要な配達事業では、人の手を借りる以上は遊休資産を活用するという点で、競争が激しくなるほど事業存続は難しくなるでしょう。
シェアリングエコノミーサービスでは、遊休資産を活用することがそもそも強みです。しかし、遊休資産が乏しくなってくると需要と供給のバランスが取れずに、良質な顧客体験を維持することは難しくなります。
シェアリングエコノミーの市場規模
引用:シェアリングエコノミーサービスの市場規模 一般社団法人シェアリングエコノミー協会
2020年、シェアリングエコノミー全体の経済規模は、過去最高の2兆円でした。
一般社団法人シェアリングエコノミー協会による日本のシェアリングエコノミーサービスに関する市場調査によれば、2020年の市場規模は2兆1,004億円となり、2030年には14兆1,526億円に拡大することが予想されています。
勢いのあるシェアリングエコノミーサービス
勢いのあるシェアリングエコノミーサービスは、新型コロナの影響によるニーズの変化とニューノーマル時代のニーズを捉えたサービスです。
たとえば、スペースマーケットはリモートワークによるオフィス縮小のため、利用シーンを「ビジネス」に転換させたことで利用者のニーズを掴み、利用者が増加しています。
個人のスキルをシェアして販売するココナラは、コロナ禍により接客業のような対面サービス業の求人が減少したことが、事業拡大の背景にあります。働き場所を求めて、既に持っているスキルを出品する人が増え、一つの会社に頼らず自分のスキルで稼げるようになりたいというニーズを満たしています。
またフリーマーケットアプリのメルカリも、コロナ禍で利用者が増加しました。在宅勤務が増え、家にある不要なものを必要な人に売るといったニーズで利用者が拡大しました。
市場が縮小傾向のシェアリングエコノミーサービス
縮小傾向にあるシェアリングエコノミーサービスは、遊休資産が限らていたり、他の要因で業績が悪化しているサービスが挙げられます。
たとえば、Uber イーツもそのひとつです。Uber イーツは、既存のプラットフォームを利用してフードデリバリーサービスをコロナ禍で拡充させました。
しかし、配達員の確保が難しくなっている点や配達員と利用者もしくは配達中のトラブルが目立っています。また出前館のような競合他社の登場で価格競争も激化しています。
他にも空き家を倉庫として利用するサービスは、供給過多のため、思うように利用者が集まらないという問題と空き家のセキュリティ強化が必要になり、人件費や設備費が増大していることが挙げられます。
シェアリングエコノミーサービスを拡充させ持続させるには、
- シームレスなプラットフォーム
- 利用する資産が潤沢
- 競合他社にはない強み
が必要になります。シェアするアイディアがあったとしても、利用者にとって利便性の高いプラットフォーム、活用する資産が豊富か、競合他社が後発しても自社に強みがあるかという点が重要です。
シェアリングエコノミーのサービス事例
シェアリングエコノミー領域Map 2020年3月 一般社団法人シェアリングエコノミー協会
国内で利用できるシェアリングエコノミーサービスは、下記の5つのカテゴリに大別されます。
- 空間
- 移動手段
- モノ
- スキル
- お金
各カテゴリについて、主なサービスを紹介します。
空間のシェアリングエコノミーサービス
空間のシェアリングエコノミーサービスです。
- スペースマーケット
- NOKISAKI BUSINESS
- おへそキッチン
スペースマーケット(https://www.spacemarket.com)
スペース掲載数No. 1のレンタルスペース。
イベントスペースや写真スタジオだけでなく、映画館などのレンタルも可能。
NOKISAKI BUSINESS(https://business.nokisaki.com)
ショップなどの軒先を始めとするシェアスペースサイト。
空きテナントや、駐車場、飲食店間借りサービスなども運営している。
おへそキッチン(https://ohesokitchen.com)
24時間365日利用することができる会員制シェアキッチン。
飲食店営業・菓子製造業等の許可を取得しており、製造販売が可能。
移動手段のシェアリングエコノミーサービス
移動手段のシェアリングエコノミーサービスです。
- Shearo
- HELLO CYCLING
- TaxiShare
Shearo(https://www.shaero.jp)
折りたたみ式電動バイクのシェアサービス。
利用には原付免許が必要。
シェアリング車両は傷害保険・賠償責任保険に、
ステーションは賠償責任保険に加入しているので、
安心して利用することができる。
HELLO CYCLING(https://www.hellocycling.jp)
ソフトバンクグループがフランチャイズ形式で提供するレンタサイクルサービス。
4,000以上のポートがあり、どこでも返却可能。
アプリから各ポートにある自転車の確認もできる。
TaxiShare(https://nearme.jp/taxishare/)
タクシーの相乗りサービスアプリ。
アプリで行き先を入力し、相乗りしたい人とマッチング。
相乗りまでの連絡や、支払いはアプリ上で行うので安心。
モノのシェアリングエコノミーサービス
モノのシェアリングエコノミーサービスです。
- メルカリ
- QUOTTA
- PIXTA
メルカリ(https://www.mercari.com/jp/)
日本国内の8人に1人が利用している、代表的なフリマアプリ。
3ステップで出品登録でき、購入手続きも簡単。
運営で一時的に購入代金を預かり、取引終了後に出品者に支払う。
エスクロー方式の売買システムを採用し、
お金に関するトラブルを未然に防止している。
QUOTTA(https://quotta.net)
フリマ形式の個人間レンタルアプリ。
本人確認の徹底、補償金、デポジット機能などを導入し、
トラブルが発生した際は、運営局が間に入りサポートする。
PIXTA(https://pixta.jp)
6,480万点以上の写真・イラスト・動画・音楽素材が低価格で購入でき、
一度購入すると追加料金なしで、何度でも加工・編集・使用可能。
定額プランや安心補償サービスもあり、有名企業でも利用されている。
スキルのシェアリングエコノミーサービス
スキルのシェアリングエコノミーサービスです。
- ココナラ
- ランサーズ
- エニタイムズ
ココナラ(https://coconala.com)
日本最大級のスキルマーケット。「誰かの役に立ちたい」「好きを仕事にしたい」「自分の力を試したい」といった人たちが自由に出品できるサービス。
ランサーズ(https://www.lancers.jp)
日本最大級のクラウドソーシングサイト。
個人事業主から大手企業まで、幅広く利用している。
安心安全への取り組みとして、サポート窓口は365日24時間対応しており、
独自の認定システムの導入や、それぞれの仕事の参考価格を公開している。
エニタイムズ(https://www.any-times.com)
ご近所に特化したスキルシェアサイト。
買い物代行や、家具組み立てなど、日常のちょっとしたスキルも出品できる。
料金は前払い制で、独自の認定システムの導入など、安心への取り組みを行なっている。
月額の保険やサポートサービスも有り、弁護士相談や税務相談も可能。
お金のシェアリングエコノミーサービス
お金のシェアリングエコノミーサービスです。
- CAMPFIRE
- Makuake
- GREEN FUNDING
CAMPFIRE(https://camp-fire.jp)
国内最大のクラウドファンディングサイト。
個人、企業、自治体などが様々な分野において、支援という形で資金を集めることができ、
支援者は支援することで、モノや体験などのリターンを得ることができる。
Makuake(https://www.makuake.com)
株式会社サイバーエージェントのグループ企業が運営する、クラウドファンディングサイト。独自の分析ツールを導入しており、PV数や支援者の属性を閲覧することが可能。
GREEN FUNDING(https://greenfunding.jp)
CCCグループが運営するクラウドファンディングサイト。
TSUTAYAなどと連携し、店舗での体験会などの実施が可能。
支援者はTポイントで支援することもできる。
マンスリーマンションもシェアリングエコノミーサービスの一形態
マンスリーマンションは、遊休資産となっていた不動産を活用したシェアリングエコノミーサービスの一つです。
日本で初めて「マンスリーマンション」という言葉を作ったのは、泉ハウジングの今泉正勝氏です。当時、重化学コンビナート周辺の賃貸アパートでは4か月ほどで引っ越ししてしまう人が多く、しかも家具や家電を残したまま移動していました。
今泉氏は、ホテルを1か月借りると18万円かかるところを、家具家電付の賃貸アパートであれば10万円で貸すことができることに商機を見出したといいます。
このビジネスモデルは見事に借手のニーズを掴み、マンスリーマンションというビジネスモデルは不動産業界で広がっていきました。
マンスリーマンションは、Airbnbほど低料金での利用はできません。しかし、Airbnbはそもそも極短期の利用(余暇の利用)を想定したサービスです。
ホテル業界でも空き室を活用するために、サブスクリプションサービスを始めています。価格もマンスリーマンションを意識しています。
しかし、ホテル業界はサービスを提供するスタッフの人件費がかかるため、すべて空き室をサブスクリプションサービスで置き換えることはないでしょう。
マンスリーマンションでは、1か月の短期契約も可能な上、3か月以上の長期間になると割安な価格で、快適な居住空間を楽しむことができます。
まとめ
シェアリングエコノミーサービスについて、基礎的な知識から市場規模、コロナ禍でも勢いのあるシェアリングエコノミーサービスを紹介しました。
今後もシェアリングエコノミーサービスの利用者は増加していくでしょう。
シェアリングエコノミーサービスは、顧客のニーズを掴むアイデアがあれば、ビジネスとして成功しやすい分野です。
都心などの利便性の高い立地条件で事業のスタートを切るならば、最初の居住地としてマンスリーマンションがおすすめです。
OneLifeでは家具付きのマンスリーマンションやWi-Fi付きの物件など、数多く取り扱っております。
少しでもマンスリーマンション暮らしに興味を持った方は、ぜひ私たちOneLifeのホームページを参考にしてみてください。